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2022年1月 7日 (金)

大田英昭『日本社会主義思想史序説』

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facebookをやるようになってから、ブログを書かなくなった。しかし、facebookで過去の書き込みを探すのは難しく、結局は埋もれてしますので、残しておきたいログはここに再生させることにした。探し出した順に載せるので、日付的には順不同だが、私的にはタイトルでカテゴリー分けをするから、facebookよりは検索やすいだろうと思うわけ。

2021年12月4日 ·
大田英昭『日本社会主義思想史序説』(日本評論社2021.11.30)を読了。この本は、鄭玹汀さんが彼女のfacebook(11月24日)に、「木下尚江の思想について極めて精緻な分析が行われており、大変役に立ちました。これまでの社会主義研究を批判的に総括するとともに、近代日本の思想史をまったく新しい観点から捉え直したことに、本書の意義があると思います」と紹介され、本の副題には「明治国家への対抗構想」とあったから直ぐに購入した。要は、11月末に総選挙が終り、明治憲法への復古や、家族制度の維持や、嫌韓嫌中の排外主義や軍拡をあからさまに語る改憲勢力が国会の2/3を超えるその結末を見れば、いま対応が必要なのは、正にこの課題「明治国家への対抗構想」であるからだ。鄭玹汀さんが、本書を出版前に読まれているのを見ると、おそらく鄭玹汀さんは大田英昭氏から謹呈されたのであろう。前に大田英昭『日本社会民主主義の形成』(日本評論社2013)を読んだら、片山潜における労働組合と協同組合、総じて社会民主主義への先駆的取り組みと併せて、木下尚江への言及があり、「あとがき」には「草稿段階の博論について有益なご批評をいただいた東京大学の鄭玹汀氏」への謝辞があった。鄭玹汀さんの『天皇制国家と女性』(教文館2013)も同年の発売であるから、ふたりは研究仲間であったのであろうか。今回の『日本社会主義思想史序説』は、日本に於ける社会主義の受容を、東洋社会党の結成や、アメリカ帰りのクリスチャンによる社会主義思想の導入や、片山潜における労働運動や移民の実行、さらには堺利彦における家庭(小さな共同体)と非戦論の形成、そして木下尚江と田添鉄二における韓国やアジアにおける被圧迫民族との連帯に見ながら、それらに対する国家によるシフトと弾圧はその時代のことと言うよりは、現在においてなお同様な構造で反復再生することを問題提起している。大田英昭氏はまだ40代で、中国の大学で先生をしながらも、明治期の第一次資料に徹底的に当たる姿勢には驚かされる。アジアとの連携の中から、明治以降の日本の近代化が見直されるのは、とても重要なことであるだろう。だから『日本社会民主主義の形成』、『天皇制国家と女性』、『日本社会主義思想史序説』は、「明治国家への対抗構想」形成に向けて、多くの方に読まれることを願うわけだが、『日本社会民主主義の形成』はA5版600頁の大著で定価は6200円+税、鄭玹汀さんの『天皇制国家と女性』は同400頁で定価は4200円+税、『日本社会主義思想史序説』は同300頁で定価は4300円+税で、おそらくどれも初版は1000部程度であろうから、購入にはハードルが高い。だからこの3著の思想を多くの人たちに伝えるには、それぞれを要約した新書版くらいの本も書いてほしいところ、無理だろうか。『日本社会主義思想史序説』は「序説」だから、今後は本論が書かれるであろう。鄭玹汀さんの「木下尚江評伝」も書き進められていることだろう。しかし、それらを楽しみにする一方で、総選挙の結果を受けて、明治憲法への復古的改憲や、政治社会状況の戦前的翼賛化への反復は、怒涛のようにすすむ可能性がある。コロナのせいもあるけど、例年よりも静かな年末、果たして来年はいかなる年になるのか。今日は仙台・羅須地人協会のゼミがZOOMであって、ZOOMを開いたら大内秀明さんがいて、「平山君、本を頼むよ」と言われた。年明けには出版出来るよう、年内はこれに集中するする。

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