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2016年2月14日 (日)

私の「文学と革命」

Photo2月は冬ごもりで読書の季節、柄谷行人『近代文学の終わり』(インスクリプト2005)にひきつづき同『定本・日本近代文学の起源』(岩波現代文庫2008)を本日やっと読了。少し近代文学を見直そうと思ったところで、かなり本格的な論に出会った。私が始めて柄谷行人氏を読んだのは、2006年4月に出た『世界共和国』(岩波新書)で、同年8月12日に私は「リカード派社会主義と宇野理論」というブログ※を書いて、大内秀明氏とのやりとりが始まった頃のことであった。
http://daruma3.cocolog-nifty.com/nh/2006/08/post_eef1.html#comments

 その後、私は『マルクス その可能性の中心』(講談社学術文庫1990)、『トランスクリティーク』(岩波現代文庫2010)、『世界史の構造』(岩波書店2010)、『帝国の構造』(青土者2014)、『遊動論』(文春新書2014)と柄谷行人氏の本を読んだわけだが、最初の引っかかりは『マルクス その可能性の中心』や『世界共和国』に書かれているマルクスの価値形態論にあった。10年前の私と大内秀明氏とのブログでのやりとりも、大内秀明氏が私に労働価値説ではなくて価値形態論を諭すように始まっていたからであった。

 当初、私は柄谷行人氏を漱石論などを書く文芸評論家かと思っていたのだが、私が読み出して以降の柄谷行人氏の論は文学論ではなくて、唯物史観に代わるアソシエーション運動の原理論であり、肩書きも哲学者になっていた。柄谷行人氏は『近代文学の終わり』にこう書いている。
「最後にいいますが、今日の状況において、文学(小説)がかつてもったような役割を果たすことはありえないと思います。ただ、近代文学が終っても、われわれを動かしている資本主義と国家の運動は終らない。それはあらゆる人間的環境を破壊してでも続くでしょう。われわれはその中で対抗して行く必要がある。しかし、その点にかんして 私はもう文学に何も期待していません」と。

 柄谷行人氏は「日本近代文学の起源」を脱構築した後、「資本主義と国家の運動」に対抗していくために、「資本=ネーション=ステートの揚棄への道筋」を考えて『トランスクリティーク』を書き、かつNAM(New Associationist Movement)を始めるわけだが、それは「結論を言えば、僕は、消費協同組合と生産協同組合を組織していくことのみが、資本主義の存立基盤を崩す唯一の方法であり、しかも、それを資本も国家も阻止できないのだと考えています」(『可能なるコミュニズム』太田出版2010)と考えたからであったようだ。NAMは短期間に失敗したようだが、「消費協同組合と生産協同組合を組織していくこと」は現在もそうであるようである。

私は、『トランスクリティーク』ほか難解な柄谷行人氏の本を読んで、「消費協同組合と生産協同組合」という結論にはちょっと拍子抜けした。私は、長年それを生業と運動にしてきたからである。そしてもうひとつ、柄谷行人氏は生産協同組合については福本和夫からインスパイアされたようであり、福本和夫の生産協同組合の背景にはスターリン主義に対する反措定と、宇野弘蔵への対抗意識があったと思うところ。それは、福本和夫の生産協同組合論は協同組合の所有論的な把握であり、それに対して私は生産協同組合は宇野経済学の労働力商品論的な把握が必要だということである。この辺りのことは仙台ヒデさんとの共著『土着社会主義の水脈を求めて 労農派と宇野弘蔵』に書いた。

また、柄谷行人氏は「生産過程から流通過程へという理論的な転倒は大事だと思う」と言うけど、流通過程に重きを置いて消費者運動なり、消費協同組合の拡大をつづけていけば、いつしか資本が追いつめられてアソシエーションにいたるかと言えば、それはむかし社会主義協会がとなえていた「長期抵抗路線」みたいなものであって、それではいつまでたってもそうはならないだろうというのが私の感想である。「理論的な転倒」のためには、やはり生産過程をベースにした労働運動による「労働力商品化の止揚」による生産協同組合を核にしたアソシエーションの形成が不可欠であると考えるわけである。

 本日読み終えた『定本・日本近代文学の起源』がおもしろかったから、今日のブログは文学について書くかなと思っていたら、以上のようになってしまった。たとえ終わったと言われても書きたいのは文学、やらねばならないのは資本主義に対抗する運動づくり、これが私の「文学と革命」なのだが、とりあえず柄谷行人氏に学んでみるところ。

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