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2015年12月21日 (月)

2015年9月28日『帝国主義支配を平和だという倒錯』

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鎌倉孝夫氏の新刊『帝国主義支配を平和だという倒錯』(社会評論社2015.8)をやっと読了。経済学書ならぬ表題で、内容的には副題の「新自由主義の破綻と国家の危機」といった中身なのだが、アベノミクスが大手を振るう現状は「安倍政権に期待する者がいること自体おどろくべきことである」=「倒錯」だということなのであろうか。学生の頃に『日本帝国主義の現段階』(現代評論社1970)という本を読んだが、それから45年たっても変わらぬ鋭い現状分析と資本主義批判の情熱がよく伝わってくる。

A5版2段組350ページの分量のある本だが、多くはこれまでに社民党系の「進歩と改革」などに載せた文章だから、分かりやすく読みやすい。私的には、要点は以下のようになる。

「現代資本主義における支配的資本は、資本の最高の発展形態である株式・証券=擬制資本によって運動を展開する金融独占資本――産業独占体と銀行・証券大資本、そしてその結合体――である」。「新自由主義の思想・政策は、この金融独占資本の利潤獲得活動の自由を保証することを目的とするものである。その自由活動を制約する規制の緩和・撤廃、投資対象・場の制限の撤廃――それによる自由な投資(あるいは引揚げ)の実現――これが新自由主義の本質である」。「多国籍企業化した今日の金融資本は・・その私的利潤追求のために、国家を、その財政(税金)を利用している」。「財政危機の根本原因は、金融資本―しかも擬制的、投機的性格を強め、多国籍企業化した金融資本が、経済の主役を演じていること、それ自体にある。この現代経済の主役―多国籍金融資本は、それ自体価値も富も生産しない擬制的領域を拡大・膨張させるとともに、本来の価値・富の生産(実体経済)に寄生し、価値を奪い、経済維持・発展の根拠を自らの利益拡大のために破壊する。だからこの多国籍企業の競争力を強め、その利潤拡大を図る政策は、社会的な経済の根拠、経済維持・成長根拠を強めるどころか、縮小・解体させる。しかし、アベノミクスの経済・財政(税制)・金融政策は、国家の政策全体を、多国籍金融資本の競争力強化、利潤拡大にふりむけてきた」。「その下に人民を統合するには・・経済の面ではトリクルダウン―好循環幻想が、政治の面では外敵侵略脅威という虚構が不可欠である」と。アベノミクスのやっていることがよく分かる。

鎌倉孝夫氏は仙台ヒデさんの仲間の宇野派の学者だが、国家論や株式会社論を語る。資本の本源的蓄積が暴力的に、国家暴力をともなって行われたように、現在の新自由主義もその延命には国家暴力を必要とするということであり、「マルクスは株式資本を資本の最高形態ととらえた。これこそは決定的認識である」と書く。宇野経済学における国家論は、鎌倉孝夫氏の「弟子」の佐藤優氏や柄谷行人氏も語るところで、それは労働力商品化の止揚と新しい共同体の形成に関係があるからであろうか、新しい協同組合論もマルクスの株式会社論といっしょに考えてみたい。7月にやった作並での研究会のつづきをこの秋にやりたいところである。

9月もあと3日、ここのところ雨降りと節約で引きこもっていたけど、今日は夕方に社会評論社に出かけ、明日は仙台ヒデさんとホテルニューオータニで打ち合わせをして、明後日は小野寺忠昭氏と仲町の日高屋でちょい飲みの予定。雨も上がり、もう10月になる、少し動きだそう。

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