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2015年12月21日 (月)

2015年6月2日「柄谷行人インタビュー」

訪中時に柄谷行人『遊動論』(文春親書1914)を持参し、移動中の列車や機内で読んで、帰りの飛行機内でちょうど読み終えた。そしたら、最後の「あとがき」に以下のようにあった。
「2012年の秋、北京に滞在し、清華大学で『世界史の構造』について講義するほか、中央民族大学で、人類学者らを前にして「遊動民」について講演した」。「私は以前から、魯迅の弟、周作人が柳田の著作を翻訳していたこと、また魯迅自身も柳田民俗学に通じていたことを知識としては知っていたが、中国滞在中、魯迅を読みながら初めてそのことの意義に気づいた」と。

また、先週『社会運動』(市民セクター政策機構)が出たので購入した。そこで生活クラブ連合会会長の加藤好一氏による「柄谷行人インタビュー 協同組合・社会主義・中間勢力について」があったからであるが、そしたら、そこでも柄谷行人は以下のように語ってた。
「私は・・朝日新聞の書評でウィリアム・モリスとE・B・バックスによる『社会主義 その成長と帰結』(晶支社)という本をとりあげました。・・モリスという人は・・社会主義者としてのみ知られていたのです。そのころは、幸徳秋水から山川均にいたるまで、ウィリアム・モリスの社会主義こそ、社会主義の基本的文献だった。そして、彼の社会主義はマルクス主義的でした。・・・柳田国男が大学で研究したのは、イギリスの協同組合です。明治政府の協同組合論はドイツのものですから、柳田は農商務省に入ったときから、それに対立していました。ちなみに、モリスらの社会主義は、イギリスの協同組合運動とつながるものでした。だから、その意味で、柳田とは縁があるのです。しかし、ロシア革命(1917)以降、マルクス=レーニン主義が正統とされ、社会主義という言葉も共産主義という言葉も、ロシア革命以後の現実によって、意味が変わってしまった」と。

2005年に大内先生の『恐慌論の形成』(日本評論社)が、2006年に柄谷行人氏の『世界共和国』(岩波新書)が出て、それを読んだ私は両著に共通する宇野経済学の価値形態論から労働力商品論をベースに新しい協同組合論を考えようと、大内先生とのブログのやりとりを始めたわけだが、10年後にも大内先生と柄谷行人氏との問題意識がシンクロしていると思ったところで、読み終えたばかりの『遊動論』の「あとがき」を隣の座席に座っている大内先生にもお見せしたら、柄谷行人氏の国家論と世界資本主義論的傾向にチェックがあった。

『社会運動』誌の「柄谷行人インタビュー」で、生活クラブ連合会会長の加藤好一氏は、以下のように語っていて、私は「なんだ、生活クラブはいつから構造改革から宇野派になったのか」と思ったところ。
(加藤)「これは私の個人的経験に発する質問になるのですが、大学時代に実は宇野経済学をかじりまして、結果、よくわからなかったんです。原理論、段階論、現状分析という三段階論も、それ自体はわかりやすい構成なのですが、なぜ段階論なのか、原理論を踏まえて現状分析していればいいのではないのか、そのように安直に考えていたところがありました。柄谷さんの『世界史の構造』もそうですし、今回の連載でも触れておられますが、宇野経済学の段階論は国家の再導入の試みであると言っておられる。これまた目から鱗というか、新鮮だったというか、生意気ですが、そんなふうに思ったわけです」。

明日(3日)、私が16年前までいた生協(パルシステム)から前理事長との座談会を頼まれている。何を話すかなと思っていて、先週までは中国旅行関係で忙しく、やっと昨日から明日のレジメを作り出したところなのだが、まあ、こんなことから話すかなと思ったところ。「私たちはどこから来て、これからどこへ向かうのか?」というのがテーマの座談会、手持ちの旧い資料の中に、1973年に日本社会党国民生活局発行の「生協運動情報」という冊子があって、そこに生活クラブ生協をつくった岩根邦雄氏の書いた文章が載っている。パルシステムもこのあたりが「どこから来たのか」のひとつのルーツなのだが、「どこに向かうのか」について、かつては社会党の派閥抗争の延長で仲の悪かった生活クラブとパルシステムではあるけど、宇野理論を媒介にして、やっと同じ理論的土俵に立てるようになるのだろうか。問題はパルシステムにあると思うところで、その辺りの話、明日どこまで分かってもらえるだろうか? 興味があって暇な方は、聞きに来てください。

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