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2015年12月22日 (火)

2015年12月6日 芸術をもて、あの灰色の労働を燃せ』

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「仙台・羅須地人協会」から来年の1月9日に仙台で行われる「宮沢賢治誕生120年 賢治農民芸術祭り“響む午後”」の案内が届いた。一昨年秋の「仙台・羅須地人協会」設立総会、今年1月の「賢治とモリスの館10周年記念会」に次ぐイベントで、今回がすごいのは後援のネットワークで、「河北新報、NPOワーカーズコープ東北支部、あいコープみやぎ、JA宮城中央会、宮城県生協連、みやぎ生協、宮城県森連、宮城県漁協、日専連仙台、宮城県農業信用基金協会」と、ほぼ宮城県内の協同組合を網羅していることである。

1980年のICA(国際協同組合連盟)のモスクワ大会において、カナダ協同組合中央会会長のレイドロウ博士は、協同組合運動は今のままでよいのだろうかと問いかけて「レイドロウ報告」と呼ばれる提言をなし、多国籍企業が跋扈するようになった世界に対して、「生産的労働のための協同組合」や「協同組合地域社会の建設」を提起した。それに対して大方の生協は、「それはかつての生産協同組合の亡霊であり、すでに決着済みの問題だ」みたいな対応をして、その後は「協同組合の基本的価値」という論議にすりかわってしまった。しかし、その後の世界はグローバリズムの進展とソ連崩壊後の新自由主義経済化によって、ますますレイドロウ博士が危惧した傾向を強め、それに対して協同組合側からは「社会的経済」という言い方で協同組合や非営利的経済組織をベースにした対案が模索されるようになっている。

「仙台・羅須地人協会」代表の大内秀明氏は宇野派の経済学者であって協同組合学者ではないのだけれど、事業協同組合である日専連とのつきあいは長く、「あいコープみやぎ」は大内先生の教え子たちがつくった生協であり、先生はそれを応援していた。私はこの10年間仙台に通いつづけて、大内先生と新しい社会主義や協同組合の在り方を議論してきたわけだが、その結論は「協同組合は共同所有で非営利だから価値がある」とかいうよりは、資本主義の矛盾は労働力の商品化にあるがゆえに、新自由主義に対抗する新しい協同組合は、「そこでは労働力の商品化が止揚される『コミュニティとしての協同組合』」であり、そういものとしての社会主義であるということであった。今回の大内先生の講演テーマは「賢治『芸術をもて、あの灰色の労働を燃せ』」、ウィリアム・モリスと宮沢賢治の試みを、宇野経済学的には、労働力の商品化を止揚したコミュニティを創ろうとした試みであったであろうとするお話ではないかと私的には大いに期待される。

太宰治は『惜別』を書くにあたり昭和19年の戦火の最中に仙台を取材して、「河北新報」から多くの資料を得てそれを書き、それを基に「その頃の仙台には・・電灯などもその十年前の日清戦争の頃からついているのださうで」の一文を書いているが、その辺りのことは現在まさに大内秀明氏がすすめる広瀬川流域をモデルにした「自然エネルギーのソーシャル・デザイン:スマートコミュニティの水系モデル」構想につながっている。私的には、ソーシャル・デザインの手法を用いながらもこの構想の背景には「労働力商品化の止揚によるコミュニティの形成」という宇野経済学に基づくモチーフがあり、それは35年前にレイドロウ博士が提起した「協同組合地域社会の建設」というテーマの再生につながっていると思うわけである。

「仙台・羅須地人協会」は「文明の転換による東北の復興」をミッションにして、広瀬川水系の自然エネルギーを利用したスマートコミュニティを提起し、そこに地域の協同組合が総結集するというのは、大震災からの復興に追われる東北が、図らずも「協同組合地域社会の建設」の可能性を切り拓くモデルになるかもしれないと思わせる。1月9日は仙台に行くべしである。

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