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2015年12月21日 (月)

2015年11月17日「ラディカル・ヒューマニズム」

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昨日は「ソウル宣言の会」主催の伊藤誠氏の講演会。テーマは、「ポスト資本主義に向けての社会的経済の役割と可能性―社会的経済は新自由主義勢力への対抗軸となるか―」。伊藤誠氏の資本主義経済の歴史的概説はいかにも優等生的であったが、「資本主義経済の根本をなす労働力の商品化の廃止をめざすことが、ポスト資本主義の要件となるとみるのが、宇野理論によるマルクス再解釈にもとづく発想になる」と宇野派らしくおさえて、「アメリカでの民衆の格差拡大反対の街頭占拠運動、ユーロ圏に広がる反緊縮政策のデモや集会の波など・・こうした民衆的な自生的連帯運動の支えとなりうる労働組合運動の再建と社会的経済の多様な成長がポスト資本主義にむけて、ともに大切な社会的基盤をも用意するものとなると思われる」、「とくに社会的経済の一面に労働組合運動との連帯を求めることを・・期待したい」とされたのには我が意を得たりであった。

伊藤誠氏は、社会的経済の理論的基礎をポラニーとマルクスに見るわけだが、「ポラニーは経済理論の基礎を労働価値説にはおいていない」、「資本主義に対抗すべきラディカル・ヒューマニズムないし、経済民主主義の徹底の論拠をどう構想しうるのか。マルクスの労働価値説にも・・熟練労働や複雑労働の単純労働への還元問題に宿題が残されており・・・その問題は、市場をつうずる評価が労働に応じた分配を意味しうるのかどうか、をめぐり、形を変えて浮上するであろう。マルクスの理論にも、経済民主主義の徹底が求められているのではないか」と提起(※以上、レジメから)され、発言では「労働価値説の根本は、ラディカルな平等原理で解決しうる」と非常にラディカルに言い切っていた。会場には堀利和さんも来ていて、堀さんは伊藤誠氏にも自著の『障害者が労働力商品を止揚したいわけ』を贈ったと言い、伊藤誠氏もそれを読まれたようだから、それが伊藤誠氏のラディカルな発言に影響しているのではと思ったところ。

伊藤誠氏は、D・ハーヴェイの『資本の〈謎〉』からの影響か、「現在生じつつあるマルクス主義と無政府主義との収斂傾向も重視したい」とするが、私的には宇野理論はもともとサンディカリズムにインスパイアされていると思うから、労働力商品の止揚の結果がいわばサンディカリズム的になるのは理の当然なのである。だいたいサンディカリズムをソレルの暴力論から理解するのがまちがいなのであって、現代的には個々のサンディカリズムをしてコミュニティ(共同体)のベースとするための労働力商品の止揚論=共同体論が必要なわけである。

会が終わった後、社会評論社の松田社長が「また1000円で飲んで行くか」と言い、いつものちょい飲みをしようとしたのだが、明治大学の柳沢先生らもいっしょに飲むので、普通の居酒屋に行った。来春くらいに大内秀明氏と鎌倉孝夫氏を囲む会を考えている訳だが、それに伊藤誠氏を加えて「労働力商品の止揚論=共同体論」のシンポジウムにしようと、伊藤誠氏にも相談して了承を得た。今月はあと22日(日)に一橋大学で、28日(土)に明治大学で大内秀明氏の講演がある。この冬は、そんなことで忙しくなりそうである。

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