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2011年5月29日 (日)

身も蓋もなく

3年前に下記の「煮ても焼いても食えない」と「箸にも棒にもかからない」というブログを書いた。
http://daruma3.cocolog-nifty.com/nh/2008/04/post_4b1d.html
http://daruma3.cocolog-nifty.com/nh/2008/04/post_970c.html
まだ還暦前で、「煮ても焼いても食えない」自分ではあるが、還暦過ぎたら「箸にも棒にもかからない」ような雑論をまとめてみたいという気持ちがあった頃である。

それから3年が経って、めでたく還暦過ぎの人生を生きている訳だけど、今年に入ると目眩と耳鳴りが始まって、とりわけ3.11の大震災後は、世界が変わってしまった。福島原発のメルトダウンと茨城・千葉で引きつづく余震と、茨城・千葉沖大地震の可能性におおわれた日常がつづく。なんとか元の日常へと思って、ひたすら日を送っても、元の日常と現在の日常はどこか違う。本もなかなか読めなくなってしまったし、このブログも書かなくなってしまった。

そこで、何とかするためのキイワードを考えていたら、3年前の「煮ても焼いても食えない」と「箸にも棒にもかからない」につづいて、「身も蓋もない」という言葉が浮かんだ。そう、あまり考えなくていいのだ。とりわけ、功利主義と自己満足にさよならして、見も蓋もなく生きればいいのでは、ということである。そしてそう思うと、またブログが書けそうに思えた訳である。

Easy_rider_1_3  さて、一昨晩、NHKのBSプレミアムで「“イージー・ライダー”60年代アメリカの熱気と狂気探る」という番組をやっていた。半世紀以上昔のアメリカに生まれた対抗文化がが、世界の若者に知れ渡ったのが1969年の映画「イージー・ライダー」によってであった。NHKの番組は「歴史館」というタイトルであるから、それを謂わば「歴史」として扱っている訳であるが、果たしてそれでいいのだろうかというのが、私の感想であった。

その前日、友人のムロケンさんから、1969年に行われた「ウッドストック」のコンサート・イベントを企画したミッシェル・ラングの書いた『ウッドストックへの旅路(仮)』という本の校正を頼まれた。この本は、7月半ばに行われる日本の対抗文化者の祭典「忍野デッド」と、それ以降の野外ロックイベントで売る予定とのことで、ペーパー・バック版で400ページの英書を1カ月間で訳したといい、急いで目を通してほしいとのことであった。

校正といっても、いつものムロケン節の名訳に、チェックどころか読まされるばかりで、感心することしきりである。昨晩は飲酒を止めて読んだのだったが、今晩は飲酒した後、楽しみながら読むといった次第である。

Woodstock_3   ウッドストックは、その後世界中で行われるようになった野外ロックイベントのルーツになる訳だが、その後のロックイベントはいざ知らず、ウッドストックのポジショニングは歴史的である以上に現代的である。ヒッピー青年が「ウッドストック」を企画するに至る経過は、たまたまの思いつきなどではなく、その背景には60年代のアメリカの対抗文化運動がある訳である。

そして60年代のアメリカの対抗文化運動やウッドストックの土地柄には、19世紀の産業化のすすむヨーロッパから逃れてきた脱産業化的人々が作りだした謂わば土着性があるって、この本を読むと、それらの人々にはラスキンやモリスが影響を与えているのが分かる。そして、ミッシェル・ラングがやろうとしたのは、コンサートというよりはコミュニティを創り出すことであった。

「イージー・ライダー」と「ウッドストック」の背景には対抗文化運動があり、担ったのは謂わばヒッピーであった訳だが、対抗文化とヒッピーは過去のものなのかと言うと、これからの社会で脱原発と脱産業化をすすめようとすればするほど、ますますリアリティを持ってくるというのが、私の感想である。

「イージー・ライダー」の中でジャック・ニコルソン演じる弁護士はこう語る。「なぜバイク乗りは嫌われるのか。人がそこに『自由』を見るからさ。みんな自由なやつがこわいのさ」と。

市場経済と自由主義を主張する人ほど、自由に生きる人を嫌って殺してしまうというのが、ジャック・ニコルソン演じる弁護士と2人の主人公さえ殺されてしまう「イージー・ライダー」のテーマである。そんで、還暦過ぎたらバイクに乗ろう、脱原発して気ままに生きようというのが私のテーマで、老後はますます煮ても焼いても食えない、箸にも棒にもかからない、身も蓋もない生き方をしようと思うところである。

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