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2009年7月 4日 (土)

ニュー・ハーモニー

1 私は4月生まれだから、春が来ると歳をとる。しかも、今年は還暦である。そこで、還暦までに調べておきたいことがいくつかあって、3月半ば頃、都立中央図書館に行ってきた。場所は南麻布の有栖川宮記念公園の中、最寄り駅は広尾で、駅を出ると、通りに洒落たカフェテラスが並び、そこの客にも道行く人にも外国人が多い街であった。

調べ物は、この間の読書で詳細が分からないことについて、関係文献を調べてネットで検索すると、その多くが都立中央図書館にあったのであるが、どの本も貸出不可となっていたので、ノートかコピーを取りに行ったのであった。

ネットで検索した資料IDを図書館のパソコンに入力すると、選び出された本がカウンターに現れる。それを待つ間は、まるで大学病院での診察待ちの時のようである。受け取った資料を閲覧室に持っていって、必要な部分をチェックして、それを複写の窓口に持っていくと、きれいに複写してくれる。複写1枚が25円で2000円分複写したが、これらの本を古書店で購入したら、けっこうな金額になるだろうから、安いものである。

Photo 調べたもののひとつは、ロバート・オウエンのニュー・ハーモニーについてであった。オウエンの『自叙伝』には、ニュー・ハーモニーについては書かれていないので、ニュー・ハーモニーがいかに形成され、そしてどうなったのかは、先達の調べた本をよむしかない。そして、丸山武志『オウエンのユートピアと共生社会』(ミネルヴァ書房1999年刊)という本を読んだ。

オウエンは、19世紀初頭の産業革命の最中、イギリスにおいて純粋な資本主義が成立しつつあった時代に、自らニュー・ラナークで成功裏に工場経営を行い、そこで体験した産業革命のオルタナティブを求めてアメリカに渡るが、その試みは、わずか3年足らずで失敗してしまう。なぜ失敗したのかについては、以前に少し書いたが、では、ニュー・ハーモニーの成立の経過と、その後はどうなってしまったのだろうか、というようなことを知りたかったわけである。

New_harmony72 アメリカ自体がピューリタンによる共同体づくりに始まるわけだが、クェーカー教徒によるものや、やがてユタを治めるモルモン教など、前回の日記にも書いたけど、たくさんの共同体づくりが行われ、その中で、ドイツから来たラップ派がインディアナ州ニュー・ハーモニーつくった共同体が居ぬきで売りに出されて、オウエンはそれを買った。
※写真は、オウエン時代のニュー・ハーモニーを再現した模型図、前掲書から

武者小路実篤の「新しき村」もそうであるが、ユートピアがつくられる土地は、どこも不動産屋の類が斡旋している。いい話が持ち込まれて、それを見に行って、気に入って、買うわけである。めざす共同社会は私的所有を否定しても、とりあえず大金を出して土地を購入するところから始まるのは面白いというか、コミューンづくりのリアリズムであろうか。

ニュー・ハーモニーのわずか3年足らずで、オウエンはニュー・ハーモニーの共同体づくりに失敗してしまうのだが、ニュー・ハーモニーの町自体は、その後もそこに住みつづけた人々によって現在まで残されているという。共同体の運営をめぐって、オウエンはアメリカ流の個人主義と意見を異にして、そこを去ったわけだが、アメリカ流の個人主義も彼らなりにハーモニーを求めていたわけであり、ソローやホイットマンの生き方というのは、そういうものであったのではないかと思うわけである。

ニュー・ハーモニーの失敗については、別途書きたいと思うが、結論だけを書けば、私はニュー・ハーモニーを否定的に見ない。ロバート・オウエンは、労働組合や協同組合の生みの親であるが、オウエンの思想のエッセンスは「協同思想と協同社会の建設」にある。

高校生の世界史の授業で、先生が黒板に「ロバート・オウエン」という文字を書いたシーンを、今でも覚えている。その日から40年以上が経って、この春に私は還暦を迎えたのだが、その時からず~っと私は「空想的社会主義者」のままでこの歳になってしまった。そして、「100年に一度の経済危機」と言われる中で、私はいまだに「ニュー・ハーモニー」を夢想しているのである。

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投稿: エルメス偽物 | 2020年4月 8日 (水) 06時21分

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